しんしんの雑記帳

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【抜粋ノート】 夏目漱石『三四郎』

プーチン大統領が日本に来たのでなんか書こうと思ったけど、あまり政治的な話題は書きたくないので、代わりに抜粋ノートを書きます。

夏目漱石の『三四郎』です。青空文庫で読めます。図書カード:三四郎

『三四郎』なんて 有名すぎて今更記事にする必要ないのかもしれないけど、まあ自分の勉強のために残しておきます。

 

以下引用するのは、有名な一場面、三四郎が電車の中で出会った男性との会話です。

 「お互いは哀れだなあ」と言い出した。「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
「滅びるね」と言った。

 

「滅びるね」の言葉の持つ強さが印象的ですよね。

そして以下はその直後の言葉です。

 「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ」

 

この小説は1908年、日露戦争から3年後に書かれたものです。

結局、日本は1945年に一度「滅んだ」わけですが、今、この漱石の言葉をもう一度考えるべき時期にあるのかなと思いました。