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しんしんの雑記帳

みんなのハートをキャッチだよ!

【スパイ小説】海野十三『人造人間殺害事件』の読後感

読書

海野十三の小説を取り上げるのは二回目ですね。

 一度目はこれ↓

sample-bang.hatenablog.com

 

今回紹介するのは『人造人間殺害事件』という短編小説。1931年の作品です。青空文庫で読めます。

図書カード:人造人間殺害事件

感想 

スパイである伊東とその同志の林田が、上海の秘密結社の副首領暗殺の指令をいかに遂行するかという内容です。

トントントンと物語は進んでいき、オチは何となく察しつつ、でも面白い。

頭の中では、伊東は最初ルパン3世でした。これはつい最近『ルパン三世 ルパンには死を、銭形には恋を』という中国が舞台のゲームの実況動画*1を観てたからなんですけどね(笑)

 

 一度読み終えてから、再度読み直すと、海野十三の「科学へのこだわり」がよりはっきりしました。それが一番強調されているのが以下の部分。

 況んや僕等には敵に対して、武器以上の武器がある。そいつは、科学である。海龍倶楽部の団員やその背後にある政府筋や某大国の黒幕連などは、政治手腕はあり、金や権力もあるであろうが、要するに彼等は科学的には失業者に過ぎない。僕等は生活様式や境遇は失業者に違いないが、一度、ハンマーを握らせ、配電盤の前に立たせ、試験管と薬品とを持たせるならば、彼等の度胆を奪うことなどは何でもない。彼等を征服するには、科学が武器である。科学! 科学! 彼等の恐怖の標的である科学を以てその心臓を突いてやれ!

 『十八時の音楽浴』のコハクほど狡猾でないにしても、登場人物に「科学」という属性を付与するのは、早稲田大学の理工科を卒業した海野十三のこだわりを感じ取れます。

 

印象的だったのは、一番最後のシーン。怪盗キッドかよ!

暗殺の鮮やかさが際立つというか、林田の行動について細かい描写は全部省かれているけど、すごく綺麗にまとめられています。

まとめ

今から80年以上前の短編小説だなんて信じられない。そんなカッコよさ漂うスパイ小説です。是非読んでみてください。