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しんしんの雑記帳

みんなのハートをキャッチだよ!

思いの動態保存

「動態保存って言葉知ってる?」

「いや、知らない」

「機械とかをね、動かせる状態で保存することを動態保存って言うんだって」

「ググってみるわ…ふむ…遺産あるいはマニアのために電車を走れる状態にしておくことが例として載ってるね」

「僕ね、これ人間にもあると思うんだ」

「というと?」

「運動していないと『鈍る』って表現したり、頭が柔軟な状態を『冴える』って表現したりするでしょ? そういうこと」

「確かに、身体や頭を動態保存するのは大事かもね。筋肉痛になるのは、動態保存できてないと言える」

 

「うん、でもね、思うんだけど、人間の思い、それも良い思いってかなりの割合で動態保存されるんだ」

「思いか」

「子どもの頃何か熱中したものはある?」

「友達とやったドッジボールとか、ゲームとか、カードゲームとか色々あるね」

「それって今思い出しても楽しくない?」

「確かに楽しいね」

「そう、楽しいの。具体的にどういう場面で何が楽しいかは思い出せないかもしれないけど、『楽しさ』は動態保存されると思うんだ」

「今思ったけど、『好き』って気持ちも動態保存されてるのかも。以前好きだった女の子、今でも好きだなって思うもん」

「それはやばいでしょ。まあ、分かるけど…」

「ほらほら」

「思い出の美化ってこういうことかもね。以前付き合ってた人とは楽しいこともあれば、喧嘩したこともあるけど、今では『いい思い出』って思えるのは、好意が優先的に動態保存されてるからかも。一概には言えないけど」

「好意が優先的にねぇ…というよりかは、好意でも嫌悪でも、思いの絶対値が強いと動態保存されやすいのかなと思った」

「嫌いな奴は嫌いだし、好きな奴は好き、みたいな?」

「そんなところかな。トラウマっていうのも、嫌悪の動態保存って言える」

「フラッシュバックがまさにそうだね」

「僕はなるべくたくさんの好意を動態保存したいな。大切な人たちへの気持ちをいつまでも保存しておきたい」

「保存というか、現に目の前にあるもの、いる人たちを大切にしような」

「『今ここから』ってことだね」

「そろそろ寝よう」

「おやすみ」