しんしんの雑記帳

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大学院入院の心構え‐4つの記事から考える

以下では4つの記事の目次を転記します。3つ目の記事に関しては、目次がないので、大事な部分をそのまま引用します。いずれも大学院生に向けられたアドバイスあるいは忠告です。気になった記事は実際に読むことをおすすめします。

その次に4月からM1になった自分自身の考えを述べます。さしずめ所信表明といったところでしょうか。

 

 

「大学院・研究者を目指す人へ」(長崎大学水産学部海棲哺乳類研究室)

http://www7b.biglobe.ne.jp/~masaoamano/Masao_Amanos/for_future_graduate_students.html

 

「研究者を目指す普通の学生諸君に」(電子情報通信学会 学生報,第21号,1991.2.25)

http://hori.k.u-tokyo.ac.jp/staff/hori/essay/kenkyuu.html

 

「『研究』というメディア」

http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~makizoh/itsuten/media.html

 

"10 easy ways to fail a Ph.D."

http://matt.might.net/articles/ways-to-fail-a-phd/

 

 

 

 

「大学院・研究者を目指す人へ」(長崎大学水産学部海棲哺乳類研究室)

大学院生への「ささやかな」アドバイス
  • 常に最悪に備えよ
  • 誰もあなたのことなんか気にかけない
  • あなたは自分の研究がなぜ重要なのか分かっていないといけない
  • 心を鍛えることが最大の防御
  • 講義を受けるのはやめよう。多くは役に立たない
  • 研究計画を書いて批判を受けなさい
  • 指導教員をうまく使え
  • 学位論文のタイプ
  • 早めに論文を出版せよ
  • 修士論文をみくびるな
  • 定期的に論文を出せ。しかしやり過ぎるな

 

大学院生への「ポジティブな」アドバイス

大学院は、あなたを読む人から、書く人に変える機会を提供する。これは実に大きな変化だ。もちろん、それは機会であるばかりではなく、挑戦でもある。

  • 常に最良のことを考えよ
  • 誰かはあなたのことを気にかけてくれる
  • 「深く」考えることについて
  • 精神的な問題
  • プロになれ
  • 単なる論文のレビューを含めすべてやったことは出版できるものとして扱え
  • 授業をさぼってはいけない
  • 研究費の申請
  • 指導教員との関係
  • 論文の出版
  • チャンスを見極めつかむこと

 

 「研究者を目指す普通の学生諸君に」

 

 (1)一流の研究者は一流の人間

(2)つまらん研究をする人はつまらん人間

(3)結果がすべて

(4)自分を評価するのは自分ではない

(5)生活を律する

(6)世の中の役に立つ

(7)本当に何が大切かを考える

(8)よくしゃべること

(9)人生は最適化できない

(10)博士課程の意味

 

 

「『研究』というメディア」

研究者どうしで「こういうテーマやって,このくらいの精度の実験と統計処理で,こういう書き方したら,この雑誌に載るよ」みたいな話をする時がある.そういうとき,研究者は自分の仕事に勝手な「天井」をしつらえて,そこへ向かって手を延ばしてるような感じがする.ことさら,業績主義の締めつけが厳しくなって,「論文書くかやめるか」みたいな状況におかれたら,どうしたってそういう意識になりやすい.自分にとって本当に「面白い」かどうかってことは,論文が出るかどうかってことにくらべれば,二の次になっていく.

それって研究だけじゃなくて,テレビとかまんがとか映画とか,音楽みたいなメディアでも,同じかもしれない.一つのメディアがある程度技術的に成熟してくると,戦略が固定してくる.結果が出ないことは死活問題だから,みんなが同じ戦略に乗る.かくして,暗黙の「天井」が形成されていき,オーディエンスもそれに慣れて不満も言わない.大失敗は少なくなるが,すごく面白いものは出にくくなる……「三割打者が絶滅する」(S.J. グールド) というわけですね.

荒木飛呂彦という人がすごいのは,ジャンプだけじゃなくマンガというメディア全体が収束していってる中で,自分は収束しないどころか,あらゆる可能性もいつも試していることである.芸術家の誇りを持ち続けながら(あの超業績主義の雑誌で,ですよ),自己満足ではなく,常にエンターテイナーであり続けようとしていること.作り手は天井ではなく,空に向かって手をのばし,オーディエンスはいつも「うわぁ,そう来たか!」と嬉しい悲鳴を上げる……ああ,これはもう文句をつけようがないな,ジョジョって本当に文句なしに「面白い」な,と納得してしまった.

(中略)

何が正しいのか分からない,と書いたけど,「岸辺露伴」(JoJo4部の登場人物)の次の言葉だけは,私にとっていつも「正しい」.
「ぼくは『読んでもらうため』にマンガを描いている! 『読んでもらうため』ただそれだけのためだ.単純なただひとつの理由だが,それ以外はどうでもいいのだ!」
……研究者だって,そうじゃないのかな.

 

 

"10 easy ways to fail a Ph.D."

  • 授業に集中してしまう Focus on grades or coursework
  • 勉強しすぎる Learn too much
  • 完璧さを求めてしまう Expect perfection
  • 先延ばしにしてしまう Procrastinate
  • 指導者から離れるのが早すぎる/遅すぎる Go rogue too soon/too late
  • 大学院を学校か職場のように扱ってしまう Treat Ph.D. school like school or work
  • 委員会を無視してしまう Ignore the committee
  • 目標が低すぎる Aim too low
  • 目標が高すぎる Aim too high
  • 本当に大事なこと(三本の優れた論文をパブリッシュすること)を逃してしまうMiss the real milestones

 

所信表明的な何か

 4つの記事で言われることに色々と共通する部分は多いです。何が共通するかを挙げるのは控えます。しかし4つの記事から言いうることは、アカデミズムという人間関係の網の目・制度にうまく乗っかるかが大事だということです。

 よほどセンスがない限り、誰でも、普通の人間でも研究することはできます。ある程度の頭があれば‐稀有な天才でなくても‐論文を書くことはできる、ということです。じっさい、カール・マルクスのような人間でなくても、経済学を専攻にして素晴らしい成果を挙げている方はたくさんいますし、ダーウィンのような人間でなくても、生物学を専攻して立派な仕事を成し遂げている人もたくさんいます。

 僕は社会学を学んでいるからか、社会現象、あるいは何らかの事象の原因を、個人の能力”のみ”に帰属させることには違和感を覚えます。それは研究活動にも言えます。もちろん優れた研究はその研究者の努力の賜物ですが、その成果が可能になるのは、さまざまな人間関係・制度のもとにおいて、だと思います。

 研究は独りでするものではありません。誰かと協業したり、何らかの組織のもとで行なわれたりする社会的な行為です。実証研究であれば、インタビュイーなどの研究協力者もいるでしょう。書かれた論文は、出版のために、学会誌の査読という制度を通して、他の研究者の力を借りています。院生はどこかの大学院に所属し、指導教員や他のゼミ生、先輩、後輩などとの交流のなかで研究を進めるという点で、様々な人間関係・制度に埋め込まれています。

 で、僕の所信表明はというと、いろんな人に頼って、今年度中に1本は論文を書いてパブリッシュしたいです。あとは流れに身を任せて、自分の頭で考えつつ、他人の頭に頼りつつ、とりあえず生き延びます。